手の中の、切られてしまった電話機を未練がましく見つめているゴン。
次いで、ゴンは恨みがましくヒソカの顔を睨みつけた。
「キルアからの電話、切れちゃったじゃないか! もぉぉぉ、ヒソカがふざけるからキルア怒っちゃっただろ!」
ぷりぷり怒るゴンに、ヒソカは「心外だ」という表情を大げさにして見せる。
「違うよ、ゴン♣ キルアが怒ったのは僕にじゃなくて、まんざらでもなさそうな君に対して、だろ?」
フフン、と上から言い放つヒソカにゴンはまたむぅぅとむくれていき、「いいから早く出てってよ!」とバスタブの中から怒鳴りつけた。
ハァ、と肩をすくめて苦笑いを浮かべながらバスルームを去ったヒソカ。
怒り心頭のゴンはブツブツ言いながら、身体を湯の中に沈め顎まで浸かるような格好になる。
しかし、温かな湯船に身体を沈めていると、些細なことでイライラしていた自分がバカらしく思えてきて、ゴンはとても穏やかなのんびりとした気持になる。
リラックスしてきたところで、再びドアが開く音がゴンの耳に届いた。
その音に反応して、ゴンがドアの方へ目をやると・・・全裸のヒソカが上機嫌で歩み寄ってくるところだった。
「〜〜〜〜っ!? 何、なんでまた入ってくるの!?」
「ん? だって、さっき言っただろ? いっしょに入ろうかな、って♥」
慌てふためくゴンに対し、余裕の表情でなんでもないことのようにしゃあしゃあと言い放つヒソカ。「ハイ、詰めて詰めて♥」と言いながら、ヒソカはゴンの肩を押しやり、半ば強引に湯船に入り込んできた。
「ちょ・・・ヤダ、オレっ・・・!」
「いいから、いいから♦ ほらゴン、ゆっくりあったまらないとね♠」
良い笑顔を浮かべながら、ヒソカはゴンの後ろに腰を下ろした。
「ほら、ゴン♥ そんな、すみっこで丸くなっていないで身体伸ばしていいよ♦ こうして背中預けていいから・・・」
と、ヒソカは逃げようとするゴンの肩を掴んで後ろから抱き締めるような格好になる。
「ヤダッ、オレ、もういいよ、オレ・・・」
抗議の声を上げている最中に、お尻の辺りに固いものが当たっているのを感じるゴン。
思わずゾワワワと鳥肌が立ち、震える声で抗議を続ける。
「ヒソカ・・・なんか・・・当たってる・・・」
「ん? ナニが?」
確信犯的笑顔で、ゴンの顔を覗き込もうとするヒソカ。ゴンが気を取られている間に、肩に回していた手を、脇や胸へと下ろしていく。
「わぁぁ!」
と、ヒソカの手の動きに驚いて悲鳴を上げたゴンは、慌ててヒソカの手首を掴んで動きを阻もうとする。
そんなゴンの様子を楽しむような笑みを浮かべているヒソカは、逆にゴンの手首を掴み返し、ゴンの身体を正面に向き合わせて抱き締めようとする。
バシャバシャと水音を立てて繰り広げられる大人気ない攻防。
ゴンは心底嫌気のさした顔をして、バスタブに手を掛け、強引に上がろうとした。
「もぉヤダ! もう出る、オレ出るからね!」
言い捨てるように叫んだゴンに、ヒソカがしたり顔の笑みで答える。
「ヤラシイなぁ、ゴン♦ 出るって、何が出るんだい?」
「・・・! 何ってなに!? なんのこと!? 知らないよ!」
本当に何の意味なのかさっぱりわからぬゴンではあったが、何か地雷を踏んだらしいぞと察したようで、青ざめた表情でそそくさと脱衣所へと逃げていった。
慌てて風呂から上がっていったゴンの背を見送ったヒソカは、愉快そうにクスクスと笑う。
「まったく本当に、可愛いなぁ、あの子は♥」
ひとり上機嫌に呟いて、いつまで「悪戯」程度で済ませられるか、自身の限度を試すのもまた一興と、ヒソカは引き続きゴンとのゲームを楽しむ心積もりを新たにしたのだった。